今年度から新学習指導要領のもと行われている高校の授業。日本史と世界史の両方を扱う「歴史総合」では、教員は専門外の分野に不安を抱えつつ、対応する努力を続ける。一方、「地理総合」は担当教員が足りないという課題がある。3年後の入試改革を控え、揺れる現場の声を歴史と地理の2回に分けて報告する。
4月中旬、千葉県立長生高校(茂原市)の1年生のクラスで、歴史総合の授業があった。
担当する佐藤克彦教諭(26)は新科目の導入として、生徒に身近な制服の歴史を題材に選んだ。生徒38人の手元には、明治維新以降の日本の就学率のグラフや、大正時代に制服を導入した学校の記念誌の抜粋などの資料が並ぶ。
佐藤教諭は資料をもとに「当時の国内や世界の情勢はどうだっただろう」などと問いかけ、議論を促した。時代ごとの制服の変化をイラストや写真で示しつつ、当時の歴史を地域横断的に考える工夫を凝らした。授業を受けた荘司広尊さん(15)は「地域も時代も区切って歴史を教わっていた中学と違って、歴史の流れや地域同士の交流が学べて楽しい」と話した。
歴史総合では、18世紀以降の日本と世界の歴史を扱う。これまで日本史か世界史のどちらかのみを教えていた教員も、今後は日本と世界の双方を適切に関連づけながら生徒に考えさせる役割が期待される。
佐藤教諭も昨年度まで日本史だけを教えてきたが、新科目の目標に共感し、自ら担当を希望。部活動が終わってから帰宅までの数時間や休日を使い、自ら資料を調べ、全国の有志の教師らとSNSでつながって勉強会や情報交換をした。「全国の教師が同様に試行錯誤をしている」という。
ただ、準備を重ねても、まだ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル